こんにちは、コウちゃんさん(管理人)です。
先日書いた「国民年金保険」が好評?だったように見えましたので、「健康保険」についても書く事に致しました。
※こういう情報を整理してくれという、FIREとしてはどう評価するか?という要望も承りますのでコメントでもTwitterでも連絡していただけると幸いです^^
健康保険には、色々な種類がある
いつもしつこくてすみません。
状況を把握しなければ良いも悪いも判断がつきません。という事で全体像を捉える事から始めます。
先ずは以下の黄色の「各列名」をご覧ください。
それぞれが何を言っているかキチンと分かりますか?
この表は「公的医療保険の現状調査をまとめた表」です。
言葉の使い方は公式からなので頭に入れておくと公式の発信情報を正確に把握できます。
何故この分け方をするのかは、別記事で書くことにします。
市町村国保 ⇒「国保健康保険」の事です。なんで言葉を言い換えるのだろう^^;
協会けんぽ ⇒「健康保険(中小企業バージョン)」の事です。
組合健保 ⇒「健康保険(大企業バージョン)」の事です。
共済組合 ⇒「公務員様の健康保険」の事です。 ※今回は触れません。
後期高齢者医療制度 ⇒「75歳以上が自動加入する国民健康保険」の事です。
※規模が小さい為省略されていますが「船員保険」という船乗りや自衛隊向けの保険も公的医療保険にはあります。(お国様の資料なのでご勘弁を)
加入先の見分け方(自分の所属を知りましょう)
見方は大きく2パターンあります。
①基本的に保険証の左上に和名で書いてあります。
「国民健康保険」や「健康保険」というキーワードがあります。
カードは標準化されているとはいえ、運営組織によって微妙に違います。
(この国の効率が悪いところ。運営?はこの後触れますのでご安心を。)
②正確に把握するなら保険証に記載された保険者番号(法別番号コード)を見ます。
国民健康保険の場合:
下記写真のように保険者番号が6桁になっています。健康保険は8桁なのです。
健康保険(協会けんぽor組合健保)の場合:
保険者番号の先頭2桁は「法別番号」と呼ばれ、この番号で分けられています。
法別番号の一覧も↓に掲載しますので併せてご覧ください。
平凡会社員であれば「01」「06」のどちらかのはずです。
「01」の政府管掌健康保険とは、上述した「協会けんぽ」の事です。
「06」の組合管掌健康保険とは、上述した「組合健保」の事です。
※分かりづらいですね・・・。
平凡会社員に関係する健康保険の比較
自分に関係する種類が絞れたと思いますので、重要な観点で比較を行っていきます。
比較した表をご覧ください。 かなりのボリュームですので覚悟してください。
※これでも詳細に記載しきるのは困難です。
先ずは特徴を比較してみる
ポイントをかいつまんで解説していきます。
加入条件:
「国民健康保険」は75歳未満であれば誰でも加入できます。何故75歳なのか?お気づきかもしれませんが一番右に「後期高齢医療制度」があります。これは、国民健康保険加入者が75歳になると自動的に切り替わる制度です。少子高齢化によって帳尻を合わせるためにできたルールです。ポイントは「保証は国民健康保険の延長である事」です。
「協会けんぽ」や「組合健保」は会社員が対象であり、所属する企業がどこに加入しているかによって変わります。
保険者(運営):
ココはかなーり重要ですので飛ばさないでください。
皆さんの多くは「国民健康保険も健康保険も国がやっている」という大枠で捉えていませんか?
本当ならある意味良いのですが、国は法律やガイドラインを設けるのみで「地方自治体」や「協会」「組合」が運営しています。
それがどうしたというのか?
ポイントは、運営する組織によって保険としての保障範囲が「最低基準のみ」や「最低基準+α」と違うのです。
更に言うと、「地方自治体」は当然1つでありませんし、「組合」も1つではありません。これが皆さんを混乱させ、情報があったりなかったりする原因になっています。
ココを理解して次に進んでいただけたらと思います。
保険料率:
人によってバラバラなので、説明は割愛致します。ここで示しているのは平均です。
ポイントは、医療頻度の高くなる年齢に「後期高齢医療制度」にて保険料が下がらない事です。
過去記事にてシミュレーションツールを作成しましたのでよかったら是非。
ここに記事リンク
扶養者有無:
配偶者や子供がいる場合で大黒柱様以外の方の収入が低い場合、扶養という形で手続きを行う事で税金控除などの支援を国から受ける事ができます。
健康保険に関しても支援があり、「協会けんぽ」「組合健保」であれば保険料はそのままに扶養者まで守る事ができます。
逆に「国民健康保険」「後期高齢医療制度」では、扶養者を守ることができません。
単身FIREの方は、もし今後扶養者が発生するイベントを考慮しているのであれば、このリスクは考慮しなければなりません。
また、現在結婚されている方にとってもFIRE後には国民健康保険に戻り出費が嵩むため、厄介な課題の1つです。
会社負担有無:
ご存じかと思いますが念のため。
給与明細にて社会保険料が沢山引かれてため息が出ているかもしれませんが、本来、保険料はそのままに扶養者までカバーできる健康保険は国民健康保険よりも当然高いです。
給与明細に書かれている保険料は会社が半分支払った後の残り半分が記載されています。
FIREを目指す者として表現に悩みますが、コレに関しては間違いなく破格です。
「国民健康保険」は会社経由ではなく個人加入ですので、100%自分で支払います。
法定給付の制度有無:
このあたりから言葉が分からない方もいると思いますので表現に注意します。
「法定給付」とは、法律(実は健康保険法があります)に準じた、給付(保障)を示します。
つまり、最低限保障されなければならない内容ですので表の全保険が〇になっています。
付加給付の制度有無:
「付加給付」とは、法律には無いが保険者(運営)が手厚く加入者を守る為に用意した保障です。ポイントは全保険の中で「付加給付」があるのは「組合健保」のみ※です。
※本記事では触れていませんが、共済健保(公務員様)には付加給付があります。
ココまでで大枠は説明しましたが具体的な保障内容についてはどのような内容があるのかを法定給付を比較して紹介します。 付加給付は組合によって異なる為。
法定給付における各保険の比較
先ずは下記の比較表をご覧ください。
見るのが(/ω\)嫌ってぐらいいっぱいありますね。
皆さんが汗水流して支払っている保険には思ったよりも沢山の保障が詰まっています。
知らずに自腹のみで終わらせるのは勿体ないです。
FIREとしては、普段支出を削減して努力している以上、漏らしたくないですね。
申し訳ないのですが、文字数が多くなりすぎて読みづらくなるので、全ての内容を解説はせずに表の見方と言葉遣い、ポイントを説明いたします。
【表の見方】
法定で定められている健康保険の保障内容を全て列挙しました。
全ての列挙に対して、それぞれの健康保険および扶養者がどのように守られているのかをマトリクスにしています。
協会けんぽは組合健保と法定保障では同じ内容でしたので網掛けしています。
また、扶養者のカバー範囲も協会けんぽと組合健保で違いは無かったため、1列で表現しています。
【言葉遣い】
給付とは「賄われる」という意味です。
例えば表一番上の「療養の給付」とは、「病院の医療費の7割が健康保険で賄われる」ので3割の支払で良いという保障です。
支給とは「別途、支払われる」という意味です。
例えば表6番目の「療養費の支給」とは、病院で健康保険を忘れたりすると全額負担になる事があります。その後、「申請を行う事で病院の医療費の7割が健康保険として本人へ別途支払われる」という保障です。
お金が戻ってくる保障がある事を知ってましたか?
忙しい会社員の頃は面倒でやらないかもしれませんが、FIREしている場合は時間がありますから、申請して活用しましょう!
※一番は健康の予防ですが^^;
【ポイント】
表には△マークがあります。
これは、法律では保障していないけれど自治体が力を入れていてカバーしている事を示しています。
それぞれの健康保険には沢山の運営がいます。そして、運営によっては法律で定めた保障よりも手厚くカバーしてくれる運営もありますので、この表が×だからといって無いと決めつけずに、自分の所属する保険運営のHPや問い合わせを行ってください。
この表はあくまでも原則であり比較が目的です。
状況は常に変わりますので原則を知った上で、最終確認を行う事が非常に重要です。
退職後は多くの方が国民健康保険になる
再掲します。
上記の表を見ると、やはり保障内容は断然「協会けんぽ」「組合健保」が手厚いです。
しかし、「協会けんぽ」「組合健保」は会社員しか所属できず、退職後は国民健康保険に必ず移行しなければなりません。
ですので、「私は組合健保だから関係ないわ」とはなりません。
両方知る必要があるのです。
ただし、退職してからの移行期間として退職前の収入を目安とした保険料で継続して2年間加入できる制度があります。
この制度には前提があって、退職前の収入時の標準月額報酬を基に保険料が固定されます。
さらに言うと、会社が折半してくれていた事で自己負担が50%だった保険料を全額負担しなければならず2倍になります。
この点を踏まえて継承するか否かを考える必要があります。
サイドFireの視点で整理する
ここまで一通りのそれぞれの健康保険について保障や保険料を含めて説明をしてきました。
実際にサイドFIREした場合の我々の付き合い方を時系列順に検討していきます。
退職後は継承するのか
保障範囲は分かりましたが、保険料が分からないと継続して加入した方が良いのか、国民健康保険に入った方が良いのかよくわかりません。
という事で計算して比較してみました。(計算方法は脱線するため別記事にしますね)
扶養無しの単身者であれば、あまり変わりません。しかし扶養者が1人でもいると段違いに金額が変わってきます。
これは国民健康保険の計算方式に扶養者はなく、加入人数毎に固定金額が含まれている一方で組合健保は扶養者をカバーされ変わらない為です。
これだけを見ると、家族がいる人は継承一択と思われるかもしれません。
待ってください!
国民健康保険は前年度の収入が影響する1年間だけの結果です。
サイドFIREすれば年収500万円になる人は平凡会社員にはいません。
組合健保の任意継承保険料は、2年間が固定なので2年間のトータルで比較しないと同じ条件で比較したことになりません。
という事で2年目も計算しました。
※計算と時系列による条件変化を考えるので少し複雑です^^;
こんな感じです。やはり単身者には影響が無いようです。
妻1人の場合でも国民健康保険の方が安くなっている事がポイントです。
1年目とは逆に扶養者が少なければ国民健康保険が追い上げる形となりました。
「扶養なし」「妻1人のみ」「妻1人・子1人」にて積み上げてトータルを出します。
組合保険は固定なので3つの条件において折れ線が重なり分かりやすいと思います。
「国民健康保険_扶養なし」以外のパターンの場合、2年トータルで組合保険の任意継承よりも多い保険料となる事が分かります。
つまり、「扶養無しの単身者は国民健康保険の方が保険料が少なくて済む」です。
ただし、「扶養者が1人でもいる場合は、継承した方が保険料が少なくて済む」です。
※因みに、介護保険料を考慮しています。(40歳未満の方はもう少し小さくなります)
保険料免除するのかどうか
国民健康保険も国民年金と同じように保険料を減免できます。
年金保険とは異なりリターンに影響しないため、サイド収入が低い年は可能な限り積極的に活用したい保険となります。
色々と書いてありますが単身者であれば下記の通りです。
前年のサイド収入が43万円以下:保険料の7割免除
前年のサイド収入が71.5万円以下:保険料の5割免除
前年のサイド収入が95万円以下:保険料の2割免除
※因みに定年等の会社都合による場合、前年収入を30%として計算できます。(定年まで働いている人は500万超えてますから減免できない気はします。)
私の場合はサイドで月5~8万程度を収入として得る事を考えていますので、2割減免になれば良いかなという具合です。毎月8万円だと要件を超えてしまいますね。
減免は部分的であるという事
今まで保険料と一言で纏めてしまっていましたが、実は健康保険料には下記のように内訳があります。
①医療保険料
②後期高齢者医療制度支援金
③介護保険料
内、減免できるのは①だけが多いです。 ※地方自治体による
②と③はザックリ言うと、1人当たり「3万円+収入の5%」です。
下記「扶養人数による比較2」の「国民健康保険(扶養なし)」を見てください。
年額で188,562円となっていますが、内、②と③が占めるのは8万円(収入100万)です。
引き算すると108,562円となり、この金額①が減免されるという訳です。
※5割減免の場合、54281円+8万(②と③)=134,281円(年額)
※月額だと、15713円(変更前) から 11190円(変更後)に小さくなるという感じです。
5割減免でもこの程度です。
元々収入に応じて変化するようになっている保険料ですから既に金額が小さくなっており、減免の恩恵も小さくなっていくという事です。やらないよりはやるべきですよ!
ただ、サイド収入を抑制するほどの時間対効果は期待できませんので、若いうちは無理に収入を抑える必要は無いと考えています。
年を取って動けなくなってきたら先ず固定費を削減という感じですね。
75歳になれば後期高齢者医療制度に自動加入する
後期高齢者医療制度とは、2008年から始まった制度で、「少子高齢化によって医療保険が賄えていないので、若い人の支援金割合を減らし、高齢の方の保険料を更に追加する」という制度です。
この制度は、「国民健康保険」に加入したまま75歳になると手続きをしなくても自動的に移行するようになっています。
保障は上述した通り、国民健康保険と基本的には変わりません。
※少なくとも私が調べた限り取り上げる程の違いはありませんでした。
変わるのは保険料の算出方法や運営先が変わり、保険料が上がるという事です。
1割2割の上昇イメージですから特段身構える程の影響ではないと思います。
数千円の固定費に耐えられないようでは、どのみち別の要因で潰れますから計画として破綻しているのですが、今分かっている事は明確に計画に含めましょう。
※別記事でも書きましたが、明確に残さないと後で漏れているのか判断できなくなります。間違っていれば修正すれば良いのです。危ないのは間違っているのか分からない事です。
高額療養費の支給がFIRE計画の参考となる
「高額療養費の支給」は、「療養費の給付(3割負担)」と並ぶ、国民健康保険のメインウエポンです。
収入毎に月額医療費の上限値を定めて、「上限を超えた場合は保険金で超えた分を別途支払います」という制度です。
例えば、減免を受けるような低所得者の場合、
70歳未満:月額上限値は35400円です。
70歳以上:月額上限値は8000円です。
この金額を超えた場合、申請をすれば上限値を除いた金額が保険金として受け取る事ができるという意味です。
つまり、医療にかかり続ける事になったとしても、上記金額を最低限計画に積んでおけば病院に行く事に関して言えば、漏れることは無いという事です。
若い内は積む必要は無いと思っていますが、50歳あたりからは計画に含めた方が良いかなという感覚で考えています。
流石にFIREしてから全期間を計画に盛り込むのは必要資金が高すぎて再現性が無い計画となりそうです。
最後に
今回は国民年金保険に引き続きFIREで必ずお世話になる国民健康保険について書きました。
皆さんが高いと言っている国民健康保険は実は凄い奴です。
国民年金保険は支払った金額に数%の割合で戻ってくるイメージですが、高額療養費の場合、リターンが無い反面、上限がありませんから、FIREの弱点である計画漏れや変更に対するリスク対策が国民健康保険のみで広くカバーできます。
実際に高い保険料ではありますが、義務という事もあり避けられない以上、逆に詳しく知ってFIRE計画に上手く盛り込んでしまいましょう!
ここまで読んでくださった方に感謝を。